当サイトは英語勉強法のサイトではありますが、一応管理人がUSCPAを持っており、会計関連の実務経験もかなりあるということで、少し英文簿記、会計について、全く知識のない方でも理解できるように説明してみようかと思います。基本的には日本の簿記、会計も同じですので、これを読めば日本語と英語で簿記、会計をマスターできる!という内容にしようかと考えております。あくまで私の個人的な理解ですので、学校などで行われているような一般的な説明とは異なりますので、ご理解いただければと思います。
複式簿記(Double-entry bookkeeping)とは?
さて、まず何をご説明するかといいますと、一般的に簿記と言われているものは、正確には複式簿記、英語ではDouble-entry bookkeepingと呼ばれています。Doubleは二重、entryは入力、bookkeepingは簿記という意味ですので、続けて言うと二重入力簿記となり、ちょっと意味が分からなくなりますね(苦笑)。簡単に言いますと、一回の入力に二か所記入する記帳方法という事です。因みに、日本語の簿記は、英語のBookkeepingを基に作られた造語だと言われております。確かにボキと、ブックキーピングは響きが似ている感じがしますね。
借方(Debit)、貸方(Credit)とは?
さて、先ほど複式簿記(Double-entry bookkeeping)とは、一回の入力に二か所記入する方法という事をご説明しましたが、二か所というのは、一つの列の左側と右側の二か所に記入するという事です。向かって左側は借方、右側は貸方と呼ばれますがいきなり言われても、普通は?という感じだと思いますので、この言い方は無視していただいて結構です。呼び方自体が重要なわけではありませんので、普通に左側、右側と言っていただいても意味は通じます。因みに英語では借方はDebit、貸方はCreditと呼ばれます。誰かに説明する時は知っていた方が良いですが、言葉自体を無理して覚える必要はありません。
具体的な記帳方法に移ります。ごく簡単な例を挙げると、例えばあなたが誰かから現金(Cash)100円をもらった時は、以下の様に記入します。
借方(Debit) | 貸方(Credit) |
現金(Cash) 100円 | ××× 100円 |
要するに、もらったものは左側(借方)、人にあげたものは右側(貸方)と覚えて下さい。問題は上の入力の貸方にある×××の部分ですが、これは、もらった100円があなたにとってどういう意味の100円なのか?ということで変わってきます。例えば、あなたが誰かに100円のチョコレートを売って、その代金として100円をもらったのであれば、×××の部分には売上(Sales)という科目名が入りますし、友達から100円を借りたのであれば、ここには借入金(Loan)という科目名が入ります。いろいろバリエーションがあるので、この話は後で詳しくご説明するとして、とりあえずここでは、何かをもらったら左、人にあげたら右という事だけ覚えておいてください。
なぜ簿記が必要なのか?
複式簿記と借方、貸方を説明しましたが、根本的な質問です。なぜそもそも簿記が必要なのでしょうか?例えば、英語を学ぶ理由はいろいろあると思いますが、基本的には英語を使って外国人とコミュニケーションできるようになることが一番の目的だと思います。それでは、なぜ簿記を勉強しなくてはならないのでしょうか?答えは簡単です。それは、「財務諸表を作るため」です。財務諸表とは何かというと、基本的には貸借対照表、損益計算書の事です。貸借対照表はバランスシートともいわれますが、英語ではそのままBalance Sheetもしくは略してB/Sと表記します。一方、損益計算書はProfit and Loss Statementもしくは略してP/Lと表記します。因みに私はアメリカでは損益計算書をIncome Statementと習いましたが、どちらも同じものです。どちらかというと、イギリスや過去イギリスの影響下にあったアジア諸国ではProfit and Loss Statementの方を使う様です。ほかにもキャッシュフロー計算書や、株主資本等変動計算書などもありますが、ややこしくなるのでとりあえずは無視します(苦笑)。
損益計算書(P/L)とは何か?
損益計算書と貸借対照表ですが、まずは損益計算書についてご説明したいと思います。おそらく、貸借対照表よりは損益計算書の方が全く知識のない方でも感覚をつかみやすいと思います。損益計算書は、一定期間のいわゆる利益を表示するものだからです。例えば、今日100円のジュースを買って、友達に200円で売りつけたとします。これが今日の唯一の取引だとすると、今日の取引からもたらされたあなたの利益は100円(200円ー100円=100円)という事になります。あまりにも簡単な例で拍子抜けされたかもしれませんが、これを複式簿記で表すと、以下の通りになります。
1.100円のジュースを買った
借方(Debit) | 貸方(Credit) |
仕入(Cost) 100円 | 現金(Cash) 100円 |
2.200円でジュースを売った
借方(Debit) | 貸方(Credit) |
現金(Cash) 200円 | 売上(Sales) 200円 |
以上です。説明のために大分単純化はしていますが、基本的にはこれだけです。1と2をそれぞれ仕訳(Journal Entry)と呼びますが、これらの仕分けを使って損益計算書を作ると、以下の通りになります。
借方(Debit) | 貸方(Credit) | |
売上(Sales) | 200 | |
原価(Cost) | 100 | |
利益(Profit) | 100 |
見ていただければ分かりますが、単純に売上、原価を1,2の仕訳からそのまま持ってきて、差額(売上ー原価)を利益にしただけです。厳密には損益計算書とは言えませんが、考え方としてはこれだけです。「現金はどこにいったの?」という声が聞こえてきますが、答えとしては「現金は損益計算書ではなく、貸借対照表に行く」となります。勘定科目には大きく分けで貸借対照表の科目と損益計算書の科目があり、売上と原価は損益計算書の科目なので、この様になったというわけです。
また、「貸借が一致していないけど良いの?」という質問もあるかと思いますが、答えは「損益計算書上では一致しなくても良い」となります。なぜなら、この利益部分(売上と原価の差額)は、次に説明する貸借対照表上の貸方(Credit)に表示されるからです。
貸借対照表(B/S)とは何か?
損益計算書をが何か少しは分かっていただけたと思いますが、一方で同じ例を使って貸借対照表を作ってみると、以下の通りになります。損益計算書が一定期間(この例だと一日)の損益を表示するのに対して、貸借対照表は一時点の財務状況を表示することになります。この例だと、今日一日の取引は1,2の仕訳しかありませんでしたので、この日の終わりに持っている現金は、ジュースを売買した儲けである100円だけということになります。従って、貸借対照表は以下の通りになります。
借方(Debit) | 貸方(Credit) |
現金(Cash) 100円 | 利益剰余金(Retained Earning) 100円 |
以上です。仕訳と同じで、左側が持っている資産、右側がその資産の内容を表します。上の表を見ていただくと、現金(Cash)はともかく、利益剰余金(Retained Earning)とは何?という疑問が出てくると思います。ご説明すると、これは単純に過去から現時点までに積みあがった、利益の総額という事になります。古くからある会社なら、この部分がかなり多く積みあがっていたりしますが、今回の例では今日一日の事しか考慮にいれておりませんので、今日得られた利益(=利益剰余金)の100円だけが貸借対照表に表示されることになります。
こんな感じで今後簿記、会計を英語と日本語で、誰でも簡単に理解できるようにご説明していきたいと思いますので、ぜひ読んでいただければと思います。
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